
デジタル証拠の収集に関する 10 のベストプラクティス
現代の犯罪捜査の 95% 以上が、スマートフォンやノート PC、SNS、クラウドデータなどの多種多様なデジタル証拠に依存しています。このような環境において調査官は、真実を明らかにし、正義を実現するうえでの重要な役割を担っています。
現代の犯罪捜査の 95% 以上が、スマートフォンやノート PC、SNS、クラウドデータなどの多種多様なデジタル証拠に依存しています。このような環境において調査官は、真実を明らかにし、正義を実現するうえでの重要な役割を担っています。
世界中の法執行機関が、電子データの系統的な収集、保存、分析にあたって、デジタルフォレンジックソリューションに依存しています。デジタルフォレンジックの一連の流れを把握し、ベストプラクティスに従うことで、フォレンジックの正当性、安全な証拠保管の連鎖、法廷での証拠の採用可能性を確保できます。
デジタルフォレンジックのベストプラクティス
フォレンジックの正当性を保ち、法廷で証拠が確実に採用されるようにするために、調査官が従うべき 10 のベストプラクティスをまとめました。
- 現場の保全
証拠の紛失、汚染、改ざんを防ぐため、現場ではモバイルデバイスを直ちに保全します。
デバイスをそれが置かれた位置で撮影し、周辺の物品(充電器、ケース、用紙など)を文書化して、デバイスの状態と位置を記録します。
物的証拠(指紋や DNA)の重要性を考慮し、抽出が遅延した場合のデジタルデータへのリスクと比較して判断します。
指紋、汚れ、物理的損傷を保全するため、デバイスは慎重に取り扱います。
- 電源管理
デバイスを現行状態のまま維持します。
電源がオフになっている場合は、オフのままにします。
電源がオンになっている場合は、オンのままにします。
- ネットワーク隔離
デバイスをネットワークから切り離す手順を実行し、遠隔からの不正操作やデータ消去を防ぎます。- 可能であれば、スマートフォンを機内モードに設定し、ネットワークを無効化します。
*コントロールセンターの使用は一時的な対処にすぎません。
- Faraday のソリューションを使用してネットワーク信号を遮断してください。デバイスの電源をオンのままにしておくため、Faraday のソリューション内にパワーバンクを含めることを検討します。
- 可能であれば、スマートフォンを機内モードに設定し、ネットワークを無効化します。
抽出
- 法的権限
デバイスにアクセスする前に、抽出に関する適切な法的権限があること、または(法域によっては)明確な緊急性があることを確認します。
- 抽出前
- 抽出方法の選択肢と、対象のデバイスへの対応状況を事前に確認します。
- デバイスの状態、画面表示、時刻を記録します。
- 法的許可の内容に応じて、適切な抽出方法を選択します。
- 抽出完了の確認
- 抽出中のエラーを確認し、抽出結果に問題がないことを確かめたうえで、次の手順に進みます。
- 抽出結果は開けますか?
- 抽出結果に必要なキーストア/キーチェーンが含まれていますか?
調査
- ハッシュ検証
データのハッシュ値を比較することは、抽出後にデータが変更されていないことへの信頼性を高める簡便な方法です。
- 使用しているツールとその限界を理解する
フォレンジックツールは調査を簡素化・迅速化するためのものですが、すべてのツールに限界があります。それぞれのツールの特性を理解し、各種のツールを使うべき場面や手作業で調査すべき場面を理解してください。
- 検証
重要な証拠が見つかった場合は、検証を行ってください
全般
10. 文書化の徹底
すべてを文書化し、証拠保管の連鎖を法的に正当化できるようにします。
- 押収時のデバイスの状態。
- 押収時のデバイスの状態。
- 誰が、いつデバイスを押収したのか。
- デバイスに対して何らかの操作が行われたか(ログオンの試行やデータの閲覧など)。
- 抽出はいつ開始されたか。誰が開始したのか。
- どのような手順が、どのような理由で実行されたか。
- 抽出後、デバイスがどう扱われたか。
デジタル証拠分析における課題
上記のようなベストプラクティスがあるとはいえ、調査官は、テクノロジーの進化に伴ってますます多くの課題に直面しています。
データの量
デバイスには膨大な量のデータが保存されており、調査官が関連する証拠を効率的に特定するには、自動化ツールが不可欠です。
クラウド
多くのアプリケーションはクラウド接続によって利便性が向上し、クラウドサービスはデバイス上のローカル保存よりも多くのデータを保持している可能性があります。
情報共有
チーム間や法域間で大規模なデータセットを安全に共有するには、堅牢なフォレンジックプラットフォームが必要です。
複数デバイスの横断分析
複数のデバイスを同時に調査することで、以下のような重要な関連性を明らかにできます。
- 被疑者と被害者の行動の裏付け
- 一見無関係な人物間の通信パターンの特定
- ネットワーク全体にわたる不正行為の追跡
法的制約
調査官は徹底した調査とプライバシー権とのバランスを取る必要があり、そのためには正確な法的手続きを踏んで正当な報告書を作成することが必須です。
変化する状況への対応
デジタル証拠は、現代の捜査の基盤を成すものです。調査手法は、個別のデバイス分析からデジタルエコシステムの全体像の把握へと移行しつつあります。テクノロジーの進歩に伴い、証拠の収集と分析に用いるツールや手法も進化する必要があります。
調査官として、ここで取り上げたベストプラクティスを実践するには、最新の環境に対応できるツールが必須となります。Cellebrite Inseyets を使用することで、調査官は複雑なデータセットを処理し、抽出と解読を自動化し、クラウドデータソースにアクセスし、プロセス全体を通じてフォレンジックの整合性を保つことができます。
さまざまなものが互いにつながった今日の世界においては、デジタル証拠の重要性は今後さらに高まっていきます。高度なフォレンジックツールを手元に揃え、継続的にトレーニングを積むことで、調査官は正義を効率的かつ正確に、そして法的に正当な形で実現することができます。